Grand green
私は循環器内科を専門とする医師として、毎日多くの患者さんに心エコー検査を実施しています。この検査は心臓の状態を詳しく調べることができる大変有用な検査です。
心臓超音波(エコー)検査(心エコー検査)は、超音波を使って心臓の様子をリアルタイムで観察する検査です。心臓の形、大きさ、動き方などを観察することで、さまざまな心臓病の発見に役立ちます。
当院では、以下のような特長で検査を実施しています。
・痛みがなく、放射線も使用しないため、他の画像診断法よりも安全な検査です
・検査時間は約20~30分程度
・検査前の食事制限も必要ありません
・繰り返し検査を受けても安全
・妊娠中の方や胎児でも安心して受けられます
心エコー検査では、高周波音波を発するトランスデューサーと呼ばれる小型の装置を使用します。これらの音波は心臓の構造で反射してエコーとして返ってきます。このエコーは装置によって詳細な画像に変換されます。
主な検査方法は以下のとおりです。
・【経胸壁心エコー検査(TTE)】:最も一般的なタイプで、胸部にトランスデューサーを置いて実施します
・【経食道心エコー検査(TEE)】:トランスデューサーを食道に挿入して、心臓の背面構造のより鮮明な画像を撮影します
・【負荷心エコー検査】:運動や薬剤を使って心臓に負荷をかけた状態で評価する検査
心臓は、全身に血液を送り出すポンプのような役割を持ち、4つの部屋(右心房・右心室・左心房・左心室)4つの弁(僧帽弁・大動脈弁・三尖弁・肺動脈弁)から構成されています。心エコー検査では、これらすべての状態を詳しく観察できます。
心臓の形態や機能は断層法で、血流はカラードプラ法などを用いて評価します。以下の項目を評価します。
・心臓の各部屋の大きさ
・心筋の壁の厚さ
・心臓全体の形
左心室の収縮は左室駆出率(EF)とよばれ、心臓の機能を示す重要な指標の一つです。EFの正常値は、55〜70%とされています。心臓のポンプ機能を数値で客観的に評価できます。
心房や心室、心臓の血管を流れる血流の方向や速度が分かるため、心臓各部の構造と機能を評価することができます。例えば、心臓弁が正しく開閉しているかどうかや、心臓弁が閉じる際に血液の逆流があるか、逆流の程度、血流が正常かどうかを判定できます。
私の診療経験において、心エコー検査により以下のような疾患を診断できます。
弁膜症の重症度を評価します。重症の弁膜症になると末梢臓器に血液を送ることができなくなり、心不全の状態になります。特に僧帽弁や大動脈弁の狭窄・逆流の程度を正確に測定できます。
心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の疑いがないか調べます。心臓を養う血管(冠動脈)が細くなったり詰まったりしていると心臓の動きが悪くなります。心筋の動きの異常から、これらの疾患を発見できます。
弁膜症や虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、心筋症、心筋炎、心膜炎、先天性心疾患などさまざまな疾患の診断に用いられ、治療方法や治療方針の決定に役立てられます。
当院での心エコー検査の手順をご説明します。
検査の際は胸が出るようにしていただくので、脱ぎ着がしやすい服装でお越しください。脱ぎづらい服装や、エコーのゼリーがついて困るような服装は避けていただいた方が無難です。
以下の点にご注意ください。
・前開きの服装を推奨します
・通常の心エコー検査であれば、食事などの制限は特にありません
・多少時間がかかりますので、トイレはあらかじめ済ませておいて下さい
①上半身のみ裸か、胸が出るよう服をまくり上げ、体の左側を下にした状態でベッドに寝ていただきます。②部屋の明かりを消した暗い部屋で検査を行います。③胸にプローブという超音波を出す棒状の器具を当て、心臓を映し出します。検査中は息を吸ってもらったり吐いてもらったりすることがあります。
検査を行う際には、心臓を観察しやすくするために体を左横向きにしていただき、検査担当者の声にあわせて息を吸ったり吐いたり止めたりしていただくことがあります。患者さんのご協力により、より正確な診断が可能になります。
心エコー検査は安全で非侵襲的な検査です。超音波を使用するため、放射線や有害な影響はありません。
しかし、以下の点にご注意いただく必要があります。
・画像の見え方によっては、エコーのプローベを強くあてる必要がある場合もあり、その場合には痛みを生じる可能性もあります
・検査用ゼリーで衣服が汚れる可能性があります
超音波検査装置や実際に検査を行う技師やドクターの技量によって診断精度に多少のバラつきが出ることもあります。専門的な医療機関で検査を受けるのが良いでしょう。
当院では以下の取り組みを行っています。
・日本心エコー図学会では、心エコー図検査に関わる知識についてのガイドラインや検査室の標準化に役立つ手引きを作成し、公開していますに基づいた検査を実施
・経験豊富な検査技師による実施
・循環器専門医による読影
経食道心エコー検査を行う場合
・胃カメラの時と同様に喉の麻酔を行ってから検査を行います。喉の麻酔だけでは検査が難しい患者さんの場合には、鎮静薬を点滴から投与して眠っていただいた状態で検査を行う場合もあります
・検査前数時間の絶食が必要です
【実際の患者さんの事例をここに挿入予定:プレースホルダー】
具体的な症例は患者さんのプライバシー保護のため、個別のご相談時にお話しいたします。心エコー検査により早期発見・早期治療につながった事例を多数経験しております。
健康診断等で行われる「心電図検査」は、心臓の拍動を測定して波形で記録する検査であり、得られる情報が心エコー検査とは異なります。
心電図検査や胸部レントゲン(X線)検査などで異常が見つかった場合、精密検査として心臓超音波(心エコー)検査を行うことが一般的です。
心エコー検査は、体への負担がなく多くのことが診断できる優れた検査ですが、単独で行われることはまずありません。胸部レントゲン撮影や心電図など複数の検査と組み合わせて診断を行なっていくのが通常です。
心エコー検査は、痛みなどはほとんどなく、放射線被曝もないため、身体に負担の少ない検査でありながら、心臓の状態を詳細に評価できる優れた検査方法です。
特に重要なポイントをまとめると
・安全で痛みのない検査
・リアルタイムで心臓の動きを観察可能
・多くの心疾患の診断・治療方針決定に有用
・繰り返し検査可能で経過観察に最適
心臓の病気は早期発見・早期対応が重要です。心エコーで異常が見つかった場合には、循環器を専門とする医師の診察を受けることをおすすめします。
胸痛・動悸・息切れなどの症状がある方、健康診断で心電図異常や心拡大を指摘された方は、ぜひお気軽にご相談ください。