Grand green
消化器がんは、消化管に発生するがんの総称で、その中でも特に【胃がん】と【大腸がん】は日本人に極めて多い疾患です。
・胃がんは日本人男性の10人に1人、女性の21人に1人が罹患すると推定
・大腸がんは臓器別がんの中で罹患者数が最も多い
・大腸がんと胃がんの死亡者数はがん疾患の中でそれぞれ第2位、第3位を占めます
消化器がんの特徴は、初期の大腸がん・胃がんはほとんど症状がありません。そのため症状を自覚した時には既に進行している可能性があり、早期発見が何より重要となります。しかし、早期に発見できれば治療成績は非常に良好で、完治を期待できるがんでもあります。
いずれも早期の段階では自覚症状はほとんどありませんが、胃がんには通常型の他に『スキルス胃がん』という特殊なタイプが存在します。スキルス胃がんでは目立った隆起や潰瘍がなく、正常な組織との境界が不明瞭なため、発見が困難なことがあります。
ごく早期の大腸がんは、無症状であることが多いです。年齢別に見ると罹患者数は、30代から徐々に増えはじめて、50代で急増する傾向があります。
私が日々診療している中で、患者さんから最もよく聞かれるのが「どのような症状があれば受診すべきか」という質問です。消化器がんの症状を理解することで、早期発見につながる可能性が高まります。
・胃もたれや軽い吐き気
・食欲不振
・みぞおちの痛みや不快感
・胸焼け
・黒色便(胃からの出血による)
・体重減少
・貧血症状
胃がんの初期症状は、胃炎や胃潰瘍などと症状が同じため、「最近食べ過ぎかな?」と見過ごされがちです。
・血便(便に血が混じる)
・便秘と下痢の繰り返し
・便が細くなる
・残便感
・腹痛や腹部の張り
・原因不明の体重減少
・貧血症状
大腸がんで血便が出るのは、がんの表面に便がこすれて出血してしまうことが原因です。また、がん病巣部が大きくなろうとするために、たんぱく質や脂肪成分を分解されるため、普段と変わらない生活をしていても、体重が減少していきます。
血便は痔核と勘違いされて放置されるケースがあります。当院では、血便を認めた患者さんには必ず詳細な問診と適切な検査をお勧めしています。
早期発見のためには、症状の有無に関わらず定期的な検査が不可欠です。当院では患者さんの状況に応じて最適な検査方法を提案しています。
・内視鏡検査ではわずかな色の違いや小さな凹凸も確認できるため、バリウム検査などの画像検査では見つけるのが難しい早期の胃がんも発見しやすい特徴があります
・その場で組織採取による病理診断が可能
・経口と経鼻の2つの方法を選択可能
・大腸内視鏡検査は、がんを早期に見つけるだけでなく、がんのもとになるポリープを発見し、その場で切除することができます
・ポリープを切除することでその後10年間の大腸がんの発症リスクを76〜90%下げられることが確認されています
便潜血検査を定期的に受診することで、大腸がんによる死亡率を減少させることが世界各国の調査報告で分かっています
血液検査でピロリ菌感染の有無と胃粘膜の萎縮度を調べ、将来の胃がんリスクを評価する検査です。
・大腸がん検診:40歳を過ぎたら受診するようにしましょう
・胃がん検診:40歳以降、年1回のバリウム検査または2年に1回の胃カメラ検査
・ピロリ菌を除菌した後も胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生があった場合は、胃がんになる危険性はゼロにはなりませんので、同じように定期的な内視鏡検査を受けることが勧められます
・胃がんの原因のほとんどはピロリ菌です
・喫煙習慣
・塩分の過剰摂取
・野菜・果物の摂取不足
・50歳以上の男性
・食生活の欧米化(動物性タンパク質や脂肪分摂取の増加)、運動不足、肥満、喫煙などが発症リスクを高めます
・家族歴(家族性大腸腺腫症やリンチ症候群など)
・40歳以上の年齢
私は患者さんに以下のような生活習慣の改善をお勧めしています
・ピロリ菌検査と必要に応じた除菌治療
・禁煙
・適度な運動
・バランスの取れた食事(野菜・果物の十分な摂取)
・減塩の心がけ
当院で経験した症例をもとに、消化器がんの早期発見の重要性をお伝えします。
健診の便潜血検査で陽性となり、自覚症状はありませんでしたが大腸カメラ検査を受診。結果、直径2cmの早期大腸がんを発見し、内視鏡的切除により完治されました。
軽度の胃もたれを自覚し、胃カメラ検査を実施。ピロリ菌感染を背景とした早期胃がんを発見。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)により根治的治療が可能でした。
血便を痔と思い込み半年間放置。進行大腸がんの状態で発見されましたが、手術と化学療法により現在は経過良好です。
これらの症例から学べることは、症状がなくても定期的な検査を受けることの重要性と、気になる症状があれば早期に受診することの大切さです。
・詳細な問診(症状、家族歴、生活習慣など)
・必要に応じた血液検査
・検査計画の立案と患者さんへの説明
当院では患者さんの負担を最小限にするため、以下の工夫を行っています
・鎮静剤を使用した痛みの少ない検査
・高解像度内視鏡システムによる精密診断
・経験豊富な内視鏡専門医による検査
・その場でのポリープ切除(日帰り手術)
・結果説明と今後の方針決定
・必要に応じた専門病院への紹介
・定期的な経過観察計画の立案
消化器がん(胃がん・大腸がん)の早期発見について、重要なポイントをまとめます。
・初期症状はほとんどないため、症状を待っていては手遅れになる可能性
・早期発見により内視鏡治療での根治が期待できる
・進行してからの発見では治療選択肢が限られる
・40歳を過ぎたら定期的な検診を受診
・家族歴やリスク要因がある場合は、より積極的な検査を
・気になる症状があれば躊躇せずに医療機関を受診
・ピロリ菌検査と必要に応じた除菌治療
・禁煙、減塩、バランスの取れた食事
・適度な運動習慣
・ストレス管理
私は日々の診療を通じて、早期発見がいかに患者さんの予後を改善するかを実感しています。「まだ若いから大丈夫」「症状がないから問題ない」という考えを改め、予防的な検査を受けることが何より大切です。