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在宅医療・訪問診療の連携について

在宅医療における連携とは?

多職種協働による包括的ケア

在宅医療では、複数の専門性をかけ合わせることで、患者や利用者に対し適切な治療・ケアを提供することが重要です。各専門職がそれぞれの専門性を発揮しながら連携することで、一人の患者さんに対してより質の高い医療・ケアを提供できます。

ICTを活用した情報共有

現代の在宅医療では、医師や訪問介護員、ケアマネジャーなどと患者の診療情報を共有できる体制を整備することで、関係者に伝えたい情報を一度に伝達したり、情報を鮮明に伝えたりできるようになっています。

地域包括ケアシステムとの関係

地域包括ケアシステムは、おおむね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定されており、在宅医療の連携はこのシステムの重要な構成要素となっています。

連携における役割分担の対処法

効果的な連携を実現するためには、各職種が明確な役割分担を理解し、実践することが重要です。当院では以下のような役割分担で連携を行っています。

医師の役割

医師は診断と治療方針を決定し自ら治療に臨み、チーム全体へ適切な指示を出します。また、患者さんやご家族へご理解いただくように病状説明を行い、同意を得たうえでの治療導入、処方を行い、治療効果を評価する責任を担います。

看護師の役割(訪問看護師を含む)

看護師は、医療従事者のなかでも患者にとってもっとも身近な存在となります。患者・家族と接する機会が多い看護師が相談役となることで、治療の不安・悩みをやわらげたり、専門職員と協力して可能なサポートを検討したりできます。

薬剤師の役割

薬局薬剤師が退院時カンファレンスへ参加したり、病院薬剤師、薬局薬剤師、訪問看護を行う看護師及びケアマネジャー間で、患者の症状変化やケアプランなどについての情報を共有することにより、地域緩和ケアなどの在宅医療の質を向上するための取組を行っていることが重要です。

ケアマネジャーの役割

ケアマネジャーは介護保険サービスの調整を行うとともに、医療職との橋渡し役を担います。患者さんの生活全体を見据えたケアプランの策定において、重要な役割を果たします。

訪問診療における連携の基本ルール

訪問診療における連携には、厚生労働省が定める基本的なルールがあります。私たちもこれらのルールに従って、適切な連携体制を構築しています。

24時間対応体制の確保

当該診療所において、24時間連絡を受ける医師又は看護職員を配置し、その連絡先を文書で患者に提供することが求められています。これは単独では困難なため、他の医療機関との連携が重要になります。

他の保険医療機関の保険医との連携により、当該診療所を中心として、患者の求めに応じて、24時間往診が可能な体制を確保することで、患者さんの安全と安心を守ります。

訪問看護との連携体制

当該診療所において、又は他の保険医療機関、訪問看護ステーション等の看護職員との連携により、訪問看護サービスの提供体制を整える必要があります。訪問看護師との連携は在宅医療の質を大きく左右します。

情報共有の義務

診療情報を記録して医療関係職種で共有することについて患者の同意を得ることや、医療関係職種が当該情報を取得した場合に、同様に記録することを促すように努めることが義務付けられています。

連携における注意点

在宅医療における連携では、いくつかの重要な注意点があります。これらを適切に管理することで、より質の高い医療を提供できます。

情報セキュリティの確保

診療情報を記録・共有する際に用いるシステムには、不正な利用や改ざん、破損などが起こらないように情報セキュリティマネジメントを行うことが求められます。当院でも、厚生労働省が定める『医療情報システムの安全管理に関するガイドライン』に対応したシステムを使用しています。

タイムリーな情報共有

タイムリーな情報共有を心がけることはもちろん、それぞれの専門職が違った意味で言葉を使っていないか、専門用語を使いすぎて他職種の理解が追いついていないということがないようにしましょう。

個人情報保護の徹底

安易に不必要な情報までもチーム内に広がり不信感を抱かないよう個人情報の取り扱いに十分注意しています。患者さんのプライバシーを守りながら、必要な情報のみを適切に共有することが重要です。

連携体制の継続性

医療と介護の連携が特に求められる4つの場面として、「日常の療養支援」「入退院支援」「急変時の対応」「看取り支援」があります。これらすべての場面で一貫した連携体制を維持する必要があります。

緊急時における連携体制の対処法

在宅医療において最も重要なのは、患者さんの急変時における迅速な対応体制です。私たちは以下のような体制で緊急時に対応しています。

24時間連絡体制の構築

24時間連絡を受ける担当者をあらかじめ指定し、その連絡先を文書で患者に提供しています。これにより、患者さんやご家族が安心して在宅療養を継続できる環境を整備しています。

救急医療機関との連携

在宅医療を行う診療所や訪問看護ステーションが連携することで、緊急時の対応や看取りについてバックアップ体制を構築できます。救急搬送が必要な場合には、事前に患者情報を共有することで、迅速な処置につながります。

夜間・休日対応の体制

24時間対応が困難な診療所、保険薬局及び小規模ゆえ緊急時や夜間・休日対応の困難な訪問看護ステーション等が在宅医療を提供する際、その負担を軽減するため、各々の機関の連携により、互いに支援し合う体制を構築しています。

多職種カンファレンスの活用法

効果的な連携のためには、定期的な多職種カンファレンスが重要です。当院では以下のような方法でカンファレンスを活用しています。

定期的な情報共有の場

地域の在宅医療に関わる多職種(病院関係者・介護従事者等も含む)が一堂に会する場を設ける(年4回以上)ことで、継続的な連携体制を維持しています。

症例検討と課題の共有

地域における連携上の課題の抽出、解決策の検討を行い、より良い連携体制の構築に努めています。実際の症例を通じて、各職種の理解を深めることができます。

顔の見える関係づくり

地域での多職種のカンファレンスは、お互いの役割などのみならず感情レベルでの理解を深め、実践を変化させることに役に立つことが示されています。

まとめ(総括)

在宅医療・訪問診療における連携は、患者さんが住み慣れたご自宅で質の高い医療を受けるための基盤となるものです。医療・介護の関係機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を提供することにより、患者さんとご家族の生活の質を向上させることができます。

重要なポイントは以下の通りです

・24時間対応可能な連携体制の構築
・ICTを活用した効率的な情報共有
・各職種の専門性を活かした役割分担
・緊急時における迅速な対応体制
・定期的な多職種カンファレンスの実施

多様化する医療ニーズのなか、医療の質や効率性の向上、安全性を保つためにも多職種連携は不可欠です。私たちは地域の医療機関や介護事業所との連携を通じて、患者さん一人ひとりに最適な医療・ケアを提供してまいります。