Grand green

腹痛・下痢・便秘が続く方への精密検査

私は佐藤内科クリニック 大阪駅院の医師です。当院でも、腹痛・下痢・便秘といった腸の不調でお悩みの患者さんを数多く診察してまいりました。「いつものことだから…」と我慢されている方も多いのですが、実はこれらの症状は放置するべきではありません。今回は、このような症状が続く場合に必要な精密検査について、詳しく解説いたします。

腹痛・下痢・便秘が続く症状とは?

主な症状の特徴

慢性便秘症や過敏性腸症候群の症状は大腸がんや炎症性腸疾患と同じで便秘・下痢・腹痛として現れます。これらの症状は、以下のような特徴があります。

・腹痛や腹部の不快感が週に複数回、数ヶ月以上続いている
・下痢と便秘を交互に繰り返すことがある
・排便によって症状がやわらぐ場合が多い
・食事や心理的ストレスによって症状が誘発される

見逃してはいけない危険な兆候

次のような症状がある場合は、緊急性の高い疾患の可能性があります。

・血便や黒色便が認められる
・急激な体重減少を伴う
・発熱が続いている
・夜間に症状が現れる(通常、過敏性腸症候群は睡眠中には症状が出ません)

精密検査を受けるべきケースとは?

検査が必要な症状の基本ルール

確定診断には、検査が必要です。これらの症状は、「過敏性腸症候群」特有のものではないからです。内視鏡検査を行い、がんなどのさらに重篤な処置を要する病気でないことを早期に確認する必要があります。

当院では、以下のような場合に精密検査をお勧めしています。

・腹痛・下痢・便秘の症状が2週間以上続いている
・日常生活に支障をきたすほどの症状がある
・便潜血検査で陽性反応が出た
・40歳以上で初めて症状が現れた

年齢による検査の考え方

40歳になったら一度まず大腸内視鏡を推奨されていますが、30歳代でもがんは発見されています。年齢に関係なく、気になる症状があれば検査を受けることが大切です。

具体的な精密検査の種類とその意義

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

大腸カメラ検査は、肛門から内視鏡スコープを挿入して肛門から盲腸までを直接観察する事ができる検査です。この検査により以下のことがわかります。

・大腸がんや大腸ポリープの発見
・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)や過敏性腸症候群の診断
・大腸カメラ検査にかかる時間は15分程度と短時間で大腸の精密検査を行う事が可能です

血液検査・便検査の役割

内視鏡検査の前に、以下の検査を行います。

・血液検査:炎症反応や貧血の有無を確認
・便潜血検査:目に見えない微量の出血を検出
・便培養検査:感染性腸炎の可能性を除外

大腸カメラ検査前の準備と注意点

検査前の食事制限

前日の3食は消化の良いものを軽く食べてください。検査食を食べていただくのがベストですが、そうでない場合には素うどん・白粥などが適しています。なお、具や薬味を入れないようにしてください。

具体的な準備の流れは以下の通りです。

・検査3日前から消化の良い食事に変更
・検査前日の就寝前に下剤を服用 ※この後、朝方までに数回の下痢をすることがあります。
・検査当日は、朝から洗腸液1~2リットルを飲んでいただきます 

下剤服用時の配慮

腸管洗浄剤を服用した場所は自宅(58%)、医療機関(42%)という結果でした。当院では患者さんのご不安を軽減するため、院内での下剤服用も可能です。

検査で判明する可能性のある疾患

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群はIBS(Irritable Bowel Syndrome)とも呼ばれ、腸にポリープや炎症などの疾患がないにもかかわらず、慢性的(1カ月前後以上)に腹痛を伴う下痢や便秘などが起こるのが特徴です。

症状の種類には以下があります。

・下痢型タイプ:腹部に強い痛みを感じて便意をもよおし、動悸がしたり冷や汗を流したりしながらトイレに駆け込むと、泥や水のような便が出る
・便秘型タイプ:3日以上便が出なかったり、出たとしても硬く短かったり、コロコロとした便しか出ず、腹痛を伴う
・混合型タイプ:便秘が長く続いたと思うと下痢が起こり、下痢が治まると再び便秘になる

炎症性腸疾患

炎症性腸疾患ではその原因と状態を調べるために大腸内視鏡検査が施行され、画像で病変の範囲や程度を評価するとともに組織を採取して炎症の程度と原因を評価します。

大腸がん・大腸ポリープ

大腸ガンは近年、罹患数や死亡数が増加傾向にあり、女性のガンによる死亡原因としては第1位、男性では第3位です。大腸ポリープや早期大腸ガンは初期症状を起こすことがほとんどなく、自覚症状が現れるのは進行しているケースが多いため、早期発見が重要です。

検査後の対処法

検査結果に応じた治療方針

検査結果により、以下のような治療方針を決定します。

・過敏性腸症候群の場合:症状によって、作用の異なる薬を服用します。腸の運動を整えるお薬、腸内細菌の乱れを整えるお薬(プロバイオティクス)、便の水分バランスを調整するお薬などを処方
・大腸ポリープの場合:検査中にポリープ(癌細胞のもととなるもの)を発見した場合には、検査中に切除することができます
・炎症性腸疾患の場合:症状に応じた抗炎症治療

生活習慣改善のポイント

どの疾患においても、生活習慣の改善は重要です。

・規則正しい生活が基本中の基本。決まった時間に起きて、決まった時間に寝る、朝昼晩の3食を規則正しく摂る
・ストレス管理と適度な運動の実施
・アルコールや刺激物の摂取を控える

まとめ(総括)

腹痛・下痢・便秘が続く症状は、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、重大な疾患のサインである可能性があります。問診だけでは大腸がんや炎症性腸疾患を否定することができません。そのため、症状が2週間以上続く場合は、迷わず精密検査を受けることをお勧めします。

当院の大腸内視鏡検査は、患者さんの苦痛を最小限に抑えるよう配慮しており、【鎮静剤の使用】や【最新の内視鏡機器】により、安心して検査を受けていただけます。早期発見・早期治療により、多くの疾患は良好な経過が期待できます。症状でお困りの方は、一人で悩まず、まずはご相談ください。