Grand green
心臓の不調やその他の病気によって引き起こされる動悸・息切れ・胸痛は、日常生活に大きな不安をもたらします。私たち医師は、患者さんが抱える症状を正確に診断し、適切な治療を行うことで、安心して生活できるよう支援いたします。本記事では、これらの症状について詳しく解説し、受診の目安や対処法をご紹介します。
動悸とは、心臓が通常よりも速く、または強く打つことにより、胸がドキドキしたり、バクバクしたりする感覚を指します。心臓は血液を体内の各部位に送り出すために一定のリズムで拍動しますが、この拍動が不規則になったり速くなったりすることで動悸が生じます。脈の乱れや速い心拍(1分間に101回以上)だけでなく、心拍が遅い状態も含まれます。
何となく胸の苦しさを感じたり、胸が締め付けられる感じがする場合は、動悸や息切れを起こしている可能性があります。息切れは、心臓の機能が低下した場合におこり、あるいは胸痛が無く心臓に負担をかけた場合、息苦しさを認めます。
胸痛は胸の痛みや圧迫感が引き起こされる症状で、その原因は様々です。左前胸部からみぞおちあるいは左肩にかけて、しめつけられるような、動けないような痛みが多く、階段や坂道を上る・運動をする・重い物を持ち上げる・入浴など、心臓に負担がかかった際に生じる場合があります。
・頻脈(脈が速くなる)
・徐脈(脈が遅くなる)
・期外収縮(脈が飛ぶ・乱れる)
・軽い動作での呼吸困難
・安静時の息苦しさ
・夜間の息苦しさ
・締めつけられるような痛み
・圧迫されるような感覚
・左胸から肩、腕への放散痛
動悸および息切れを来す疾患として、不整脈、心不全、呼吸不全、肺炎、気胸、喘息、COPD、狭心症、心筋梗塞、肺血栓塞栓症、発熱、脱水、甲状腺機能亢進症、貧血、薬剤、不安神経症、過換気症候群などがあります。
冠動脈の約75%以上が狭窄して、心臓に十分な酸素を供給できない状態(虚血)になると、「狭心症」として胸の痛みなどの症状が現れます。なお、血管が完全に閉塞して心筋の壊死が起これば「心筋梗塞」となり、狭心症よりも強い痛みが長く現れ、最悪の場合に死に至ることがあります。
・狭心症・心筋梗塞
・不整脈
・心不全
・弁膜症
・肺炎
・気胸
・喘息・COPD
・肺血栓塞栓症
・甲状腺機能亢進症
・貧血
・更年期障害
・不安神経症・パニック障害
症状が現れた際の適切な対処法を知っておくことで、症状の悪化を防ぎ、早期の改善につながります。
狭心症による胸痛を起こした場合には、座って安静を保ち、楽に呼吸できるよう襟元をゆるめます。労作性狭心症は、胸痛が起こったら安静にすることが重要です。まずは座って、衿元をゆるめるなど楽に呼吸ができるようにします。
・安静にして座位を保つ
・衣服をゆるめて楽に呼吸する
・周囲の人に状況を伝える
・処方薬があれば指示通りに服用する
・無理な運動や労作を避ける
・ストレス管理を心がける
・十分な睡眠と休養をとる
・禁煙・節酒を実践する
脂っこい食事や食べすぎは、胃酸の逆流を起こして胸の痛みを感じることがあります。腹八分目と軽い運動(ウォーキングなど)を続けることで、心臓や肺の健康にもつながります。ストレスや寝不足は、自律神経のバランスを崩し胸の違和感の原因になります。十分な睡眠とリラックスする時間を意識して過ごしましょう。
症状の緊急度を適切に判断し、必要に応じて迅速に医療機関を受診することが重要です。
胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが2~3分続く場合は迷わず119番へ通報してください。数分から15分ほど発作的な胸の痛みが続くようなら、なるべく早く循環器内科を受診してください。
・強い胸痛が持続する
・冷や汗・吐き気を伴う
・呼吸困難や意識障害がある
・頻脈にふらつきや失神を伴う場合
・「休むと症状が改善する胸痛」を繰り返す場合は、10分以内に症状が落ち着いても医療機関を受診しましょう
・動悸が頻回に起こる
・軽い労作での息切れ
・夜間の息苦しさ
・症状の詳細(いつ、どこで、どのような)
・症状の持続時間
・誘因や改善因子
・既往歴と内服薬
・家族歴
正確な診断のために、当院では様々な検査を組み合わせて原因を特定します。
心電図では安静時に行う心電図検査で、心筋に流れる微小な電流から心臓の動きの状態を確認します。ホルター心電図は携帯用の小型心電図検査のことで、24時間心電図を記録し、日常生活での労作時の心電図変化を確認できます。
・心電図検査(安静時・負荷時)
・胸部X線検査
・血液検査(心筋マーカー、BNPなど)
・心エコー検査
・ホルター心電図(24時間記録)
・運動負荷心電図
・心臓CT検査
・心カテーテル検査
問診と身体診察から始まり、症状や所見に応じて必要な検査を段階的に実施します。受診時には治まっていることも多いため、問診内容を踏まえ、必要に応じて24時間の状態を調べる携帯型のホルター心電図を装着してもらい、異常の有無を詳しく検査します。
当院では様々な症状でお悩みの患者さんを診療しています。動悸や胸痛で受診された方の多くは、適切な検査により原因が明確になり、治療によって症状の改善を実感されています。また、検査の結果、心配のない症状であることが判明し、安心して日常生活を送られるようになった方も多数いらっしゃいます。患者さん一人ひとりの状況に応じた丁寧な説明と治療により、QOL(生活の質)の向上を目指しています。
※患者さんのプライバシー保護のため、詳細は控えさせていただきます。
症状の予防と再発防止のために、日常生活での取り組みが重要です。
動脈硬化を起こす危険因子として、脂質異常症などがあり、これらの危険因子が重なることで、動脈硬化を発症しやすくなります。生活習慣病の管理が心血管疾患の予防において極めて重要です。
・規則正しい生活リズム
・バランスの良い食事
・適度な運動習慣
・禁煙・節酒
・ストレス管理
・年1回の健康診断
・心電図検査
・血圧・血糖・コレステロール値の管理
・症状の変化に注意を払う
処方された薬物治療は、医師の指示に従って継続することが重要です。自己判断での中断は症状の悪化や合併症のリスクを高める可能性があります。
動悸・息切れ・胸痛は、心臓や肺をはじめとする様々な疾患によって引き起こされる症状です。胸の痛みは、軽い筋肉の痛みから心臓・肺の病気まで、さまざまな原因で起こり、見た目や痛み方だけでは判断が難しく、「少し変だな」と思ったときこそ早めの受診が大切です。
症状の多くは適切な治療により改善が期待できますが、中には緊急を要する疾患も含まれています。症状を軽視せず、気になることがあれば早めに医療機関を受診することをお勧めします。
私たち医師は、患者さんの症状を丁寧に聞き取り、適切な検査と診断により、一人ひとりに最適な治療を提供いたします。症状に関する不安や疑問がございましたら、遠慮なくご相談ください。