Grand green
当院では、今年7月にグラングリーン大阪院の開院を控え、より多くの患者さんに適切な内視鏡検査を受けていただけるよう取り組んでおります。上部消化管内視鏡検査には【経鼻内視鏡】と【経口内視鏡】という2つのアプローチがありますが、どちらを選ぶべきか迷われる方が多くいらっしゃいます。
私は日々の診療で多くの患者さんに内視鏡検査を実施しており、お一人お一人の体質やご希望に合わせた最適な検査方法をご提案させていただいております。
経鼻内視鏡で使用する細径内視鏡の直径は5〜6mmであり、経口内視鏡の8〜9mmと比較して約半分の太さです。この細いスコープを鼻腔から挿入し、上咽頭を通って食道、胃、十二指腸へと進めて観察を行います。
口からの内視鏡検査の場合には、舌の付け根に内視鏡スコープが当たるため"オエッ"というように嘔吐反射が起こりますが、鼻からの内視鏡検査の場合には舌の付け根に内視鏡スコープが当たらないため嘔吐反射は起こりにくいです。
当院でも多くの患者さんが経口内視鏡での辛い経験を理由に経鼻内視鏡を希望されますが、実際に検査を受けられると「思っていたより楽だった」というお声をいただいております。
経鼻内視鏡であればカメラは鼻から挿入されて口は自由な状態になっているため、会話が可能です。検査中に医師とコミュニケーションを取れることで、リラックスして検査を受けていただけます。
画像強調内視鏡検査は、経鼻内視鏡でも経口内視鏡でも使用することは可能であり、新たに開発された高解像度の経鼻内視鏡では画質は劇的に改善していますが、経鼻内視鏡は内視鏡径が細いため、一部の処置具は入りません。
経口内視鏡には送水機能がついた機種があり、吸引口が大きく水を吸うスピードが速いため、検査時間の短縮につながります。これにより効率的で精密な検査が可能になります。
経口内視鏡では太いスコープを使用するため、組織採取や止血処置などの治療的処置により適しています。当院でも精密検査や治療が必要な場合には経口内視鏡をお勧めしております。
経鼻検査では鼻からスコープを挿入するため、触れるとオエっと強い嘔吐反射を起こす舌の根本にスコープが触れることなく検査ができますので、楽に検査を受けることができます。
一方で、鎮静剤を使わずに経鼻内視鏡検査をした場合、患者様が苦しがってしまうことで検査がスムーズに進行できず、結果として精度が低下してしまうケースも稀にあります。
経鼻検査では弱い局所麻酔で楽に検査を受けられるため、鎮静剤などを使用する必要がなく、検査後すぐに運転やお仕事なども可能であり、お忙しい方も気軽に受けていただくことができます。
『メリット』
- 嘔吐感の原因になる舌の付け根への接触がなく、嘔吐感が少ない
- 検査中の会話が可能
- 鎮静剤不要で検査後すぐに社会復帰可能
『留意点』
- 鼻の中(鼻腔)が狭い場合には挿入時に痛みが出る、鼻出血をすることがある
- 画像の解像度は経口内視鏡スコープに劣る、拡大観察ができない
『メリット』
- 高解像度で精密な診断が可能
- 治療処置に対応しやすい
- 検査時間が比較的短い
『留意点』
- 嘔吐反射が起きやすい
- 鎮静剤使用時は検査後の運転制限
胃カメラを初めて受ける方、以前経口検査で苦しい思いをされた方には経鼻検査が特におすすめできます。また、何らかの理由で麻酔を使用できない方は、経鼻内視鏡を使った検査を行います。
鎮静下での経口内視鏡の方が観察能力などは優れているため、車を運転する必要がない方には鎮静剤を使用した上での経口内視鏡検査がおすすめです。
2013年の消化器内視鏡の専門誌での検討では、すでに病変があることがわかっている患者さんを対象に内視鏡専門医が施行した結果、経口内視鏡では22%、経鼻内視鏡では41.5%の早期胃がんの見逃しがありました。
ただし、オリンパス社の最新の経鼻内視鏡であるGIF-1200Nに関しては経口内視鏡に比べまったく遜色のない画質ですという報告もあり、技術の進歩により差は縮まってきております。
経鼻内視鏡検査の特徴的な合併症の1つに鼻出血があります。内視鏡の鼻粘膜への接触により鼻出血を予防するために、検査前に薬剤(血管収縮薬)を噴霧してから行うことが一般的です。
また、鼻腔の狭さや角度によって経鼻内視鏡を鼻腔内に挿入できない場合には適宜経口内視鏡検査に変更して行われます。
経鼻内視鏡と経口内視鏡にはそれぞれ異なる特徴があります。経鼻内視鏡は【苦痛の軽減】と【検査後の制限の少なさ】が最大のメリットです。一方、経口内視鏡は【診断精度の高さ】と【治療対応力】に優れています。
選択の基本的な考え方として、初回検査や嘔吐反射が強い方、検査後すぐに運転が必要な方には経鼻内視鏡を、より精密な検査や治療処置が必要な場合には経口内視鏡(必要に応じて鎮静下)をお勧めしております。
重要なのは、どちらの方法でも定期的な検査を継続することです。消化器のがんは、内視鏡検査で高い精度で診断できますので、健康診断やがん検診や人間ドックなどで内視鏡検査を受けることはとても有意義なことです。
当院では患者さんお一人お一人の状況に合わせて最適な検査方法をご提案いたします。検査への不安や疑問がございましたら、お気軽にご相談ください。