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大腸がんは日本人にとって身近な病気となっており、私たち医師にとっても早期発見・早期治療の重要性を日々実感しています。食生活の欧米化などの影響を受けて年々増加しており、一生のうち男性の10人に1人、女性の12人に1人が大腸がんと診断される状況にあります。しかし、早期に発見すれば治る確率が98%にも及ぶことから、適切な検診を受けることが極めて重要です。
今回は大腸がん検診の中でも特に重要な位置を占める大腸カメラ(大腸内視鏡検査)について詳しくご説明いたします。
大腸がん検診は、症状が現れる前の早期段階でがんを発見することを目的としています。40歳以上の人が対象で、1年に1回受診することが勧められており、これには明確な理由があります。
・40歳を境に大腸がんの発症リスクが急激に上昇
・症状が現れる前の段階での発見が治療成功の鍵
・定期的な検診により前がん病変(ポリープ)の段階で対処可能
大腸がん検診には主に『対策型検診』と『任意型検診』があります。対策型検診では、まず便潜血検査を行い、異常が見つかると、その異常が大腸がんによるものなのか、より詳細に調べるための精密検査を行います。
一方、任意型検診では個人の判断により初めから大腸内視鏡検査を受けることも可能です。検査を受けることで得られるメリットとデメリットを確認したうえで受診することが推奨されています。
当院では以下のガイドラインに基づいた検査をお勧めしています:
・便潜血検査による大腸がん検診の対象年齢は「40歳から74歳」が推奨
・日本においては3-5年に1回の頻度で大腸カメラ検査を受けることが望ましいとされています
・ポリープが見つかった場合や、大腸がんのリスクが疑われる状況では、半年から1年の頻度で再検査を受けることが推奨されます
個人の健康状態やリスク要因により最適な検査間隔は異なりますので、当院では患者様一人ひとりの状況に合わせたアドバイスを行っています。
以下のような方には積極的な検査をお勧めしています:
・40歳以上の方
・便潜血検査で陽性反応が出た方
・喫煙・飲酒の習慣のある人、肥満が気になる人
・糖尿病や潰瘍性大腸炎などの持病がある方
・大腸がんの家族歴がある方
大腸カメラ検査を正確に行うためには、事前の準備が極めて重要です。下剤を飲んで腸の中を綺麗にし、大腸の中をしっかりと見るためには、前処置と言って腸管洗浄剤を使って大腸をきれいにする必要があります。
当院では患者様の負担を軽減するため、以下の配慮を行っています:
・前処置薬の服用場所について、"ご自宅" でも "クリニックに来院して"の服用のどちらでもお選びいただける
・検査当日までに行う準備として、根菜や葉物野菜、海藻などは残渣が残りやすいため避けていただく食事制限
・便秘がある方への個別対応
検査当日は以下の手順で進行します:
・受付と検査着への着替え
・腸管の運動を抑える薬(鎮痙剤)を肩に注射することがある
・鎮静剤使用により快適な検査環境を提供
・検査時間は個人によって異なりますが約30分
当院では患者様の苦痛を最小限に抑えるため、鎮静剤を使用した『無痛検査』を基本としております。
大腸カメラ検査は安全性の高い検査ですが、以下のリスクについて正しく理解していただくことが重要です:
・検査のみによる頻度(0.04%、1万人に4人)、内視鏡治療による発生頻度(0.2%、1000人に2人)の出血・穿孔リスク
・全国集計で0.011%(9,091人に1名の割合)の偶発症発生頻度
・前処置(下剤内服)に伴う腸閉塞および腸管穿孔(非常に稀、0.00001%以下、1000万人に1人以下)
以下の状況では検査を慎重に検討する必要があります:
・消化管がとても狭い患者さんや、腸閉塞をきたしたことのある患者さん、おなかに放射線をあてたことのある患者さん、ペースメーカーのある患者さん,飲み込みに問題のある患者さん、妊婦さん
・血液をサラサラにするお薬(血栓薬など)を内服されている方は、ポリープ切除の際に出血しやすいため、事前の相談が必要
「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン」2024年度版では、大腸がん検診に関する最新の見解が示されています。
重要なポイント:
・全大腸内視鏡検査は死亡率減少効果を示す科学的根拠はあるものの、確実でなく、対策型検診としては勧められません
・全大腸内視鏡検査の利益と不利益に関する適切な情報を医療者と検診対象者が共有し、検診対象者の判断を支援する体制を整えれば、任意型検診として行うことは可能
便潜血検査は、症状がない方から大腸がんの可能性のある方を拾い上げる集団検診として広く実施されていますが、便潜血検査で陽性反応が出た場合、その後の精密検査として大腸内視鏡検査が強く推奨されています。
大腸がん検診における大腸カメラ検査は、早期発見・早期治療を実現する極めて有効な検査方法です。以下の点を改めて確認いたします:
重要なポイント:
・40歳以降は5年に1回の定期検査が推奨
・便潜血検査陽性時の精密検査として必須
・高精度な診断と同時治療が可能
・適切な前処置と技術により安全性は極めて高い
当院では患者様一人ひとりの状況に応じた最適な検査プランをご提案し、快適で安全な検査環境を整えています。不安な点やご質問がございましたら、お気軽にご相談ください。