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胃がん検診における胃カメラとは、胃内視鏡検査による胃がん検診のことを指します。2015年3月に発表された『有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン2014年版』では、50歳以上の男性・女性を対象とした対策型胃がん検診の方法として、胃部X線検査(バリウム検査)の他に、胃内視鏡検査が推奨されています。
胃カメラによる胃がん検診の特徴は以下の通りです。
・【内視鏡検査による直接観察】で胃の粘膜を詳細に確認できる
・韓国の20万人規模の大規模な症例対照研究では40~79歳まで57%の死亡率減少効果を認めており、胃がんによる死亡率を減少させる効果が認められている
・検査中に異常が見つかった場合、その場で組織の一部を採取(生検)して確定診断が可能
・2年に1回の頻度で受けることが推奨されている
・国の指針(2016年4月1日から適用)では胃がんの一次検診では問診、胃X線検査、胃内視検査が勧められています
当院では、専門医による精度の高い胃カメラ検査を通じて、患者さんの早期胃がんの発見と治療につなげることを目指しています。
胃カメラ検診には、効果を最大化し安全に実施するための基本的なルールが設けられています。当院でも以下のガイドラインに基づいた検診を実施しています。
対象年齢は50歳以上で、2年に1回の実施が推奨されています。これは以下の理由に基づいています。
・【年齢による胃がんリスクの増加】:胃がんは50歳代から急激に増加していることが統計的に明らかになっている
・【適切な検診間隔の設定】:胃がんの進行速度と検診の負担を考慮した科学的根拠に基づく間隔
・検診間隔は2~3年とすることが可能で、バリウム検査より長い間隔での実施が可能
重篤な偶発症に迅速かつ適切に対応できる体制が整備できないうちは実施すべきではありません。当院では以下の体制を整えています。
・日本消化器内視鏡学会認定の専門医による検査実施
・偶発症対応のための緊急時対応システム
・精度管理体制の整備による検査品質の維持
胃カメラ検査を安全かつ精度高く実施するためには、適切な前準備が不可欠です。当院では患者さんに以下の準備をお願いしています。
検査前日に食事内容の制限はございませんが、夜21時までにお済ませください。具体的な注意点は以下の通りです。
・【食事時間】:夜8時までに食事を終わらせましょう
・【避けるべき食材】:繊維質の多い野菜や果物、海藻などはなるべくお控えください
・【飲酒について】:飲酒は極力避けるようにしてください
・【水分摂取】:水、お茶は飲んでも構いません
検査当日の食事(牛乳、ジュース、お茶なども)は控えてください。水のみは結構です。
・【固形物の摂取】:午前中検査をする方に関して、固形物はNGです
・【水分摂取】:水、お茶やスポーツドリンクなどの水分は摂っていただいても構いません
・【服薬について】:降圧剤などの内服薬に関しては、事前に主治医に相談ください
当院では、患者さんが安心して検査に臨めるよう、事前に詳細な説明を行い、不明な点についてはいつでもご相談いただける体制を整えています。
胃カメラ検査は胃がんの早期発見において極めて重要な役割を果たしています。私が日々の診療で実感している胃カメラ検査の価値についてご説明します。
胃がんである人とそうでない人をふるいわけるための検査として胃内視鏡検査を行った場合、初回の検診でがんを正しく判定できる割合は88.6%、継続して検診を受けている場合では95.4%にのぼるとされています。
・【高い診断精度】:バリウム検査と比較して、より小さな病変の発見が可能
・【組織診断の同時実施】:疑わしい部位をその場で採取し、確定診断に進める
・【治療成績の向上】:早期に見つかれば98%が治ると言われている胃がんの早期発見に貢献
胃痛や胸やけ、吐き気、食欲不振、黒色便などの症状がある場合は、症状が出るたびに胃カメラ検査を検討する必要があります。
症状がある場合の当院での対応:
・迅速な予約対応(可能な限り数日以内)
・症状の詳細な聞き取り
・必要に応じて緊急性の判断
胃カメラ検査は比較的安全な検査ですが、まれに偶発症が生じる可能性があります。当院では患者さんの安全を最優先に、以下の対策を講じています。
偶発症については偽陽性、過剰診断のほか、前処置の咽頭麻酔によるショックや穿孔・出血などの偶発症があります。
・胃内視鏡検診の偶発症として診療例を含む消化器内視鏡学会報告では、10万件あたり0.19でした
・上部消化管内視鏡検査の偶発症割合は0.044%(日本消化器内視鏡学会誌 2024 年 66 巻 p. 327-354)
・経鼻内視鏡による鼻出血の報告は認められますが、5%以下でした
私たちが実施している安全対策をご紹介します。
・【事前問診の徹底】:既往歴、内服薬、アレルギーの有無を詳細に確認
・【適切な前処置】:患者さんの状態に応じた麻酔薬の選択と使用量の調整
・【緊急時対応体制】:偶発症発生時の迅速な対応が可能な医療体制の整備
・【検査後観察】:検査後の患者さんの状態を十分に観察し、安全確認を実施
当院では、これらの安全対策を徹底することで、患者さんに安心して検査を受けていただけるよう努めています。
当院で実際に経験した症例をご紹介いたします。
会社の健康診断でバリウム検査を毎年受けていましたが、特に異常を指摘されたことはありませんでした。50歳になったことを機に、より精密な検査を希望され当院で胃カメラ検査を受診されました。
検査の結果、胃の入り口付近に早期胃がんを発見しました。バリウム検査では見つからないほど小さな病変でしたが、胃カメラでは明確に観察でき、その場で組織を採取して確定診断を行いました。幸い早期の段階での発見だったため、内視鏡的切除術により完治することができました。
この事例は、胃カメラ検診の重要性を示すものです。『症状がないから大丈夫』ではなく、定期的な検診により早期発見・早期治療につなげることができます。
軽い胃もたれを感じることがあり、胃カメラ検査を希望されました。検査前は非常に緊張されていましたが、経鼻内視鏡を選択し、検査中も医師と会話しながら進めることができました。
検査結果では、ヘリコバクター・ピロリ菌による萎縮性胃炎を認めましたが、幸い悪性所見はありませんでした。その後、ピロリ菌の除菌治療を行い、胃もたれの症状も改善しました。現在は定期的な胃カメラ検診を継続されています。
これらの事例から学べることは、症状がなくても定期的な検査の重要性と、個人のリスクに応じた検査計画の必要性です。
胃がん検診として受ける胃カメラは、胃内視鏡検査は胃がんによる死亡率を減少させる効果があると科学的に証明された重要な検診です。私が患者さんにお伝えしたいポイントは以下の通りです。
・50歳以上で2年に1回の実施が推奨されている科学的根拠のある検診方法
・バリウム検査では発見困難な小さな病変も検出可能
・早期に見つかれば98%が治る胃がんの早期発見に最も有効
・検査と同時に組織採取による確定診断が可能
当院では、患者さんが安心して検査を受けていただけるよう、以下の点に配慮しています。
・日本消化器内視鏡学会の指針に基づいた安全な検査実施
・患者さんの状態に応じた検査方法(経口・経鼻)の選択
・十分な説明と同意のもとでの検査実施
・偶発症に対する適切な対応体制の整備
胃がん検診としての胃カメラは、単なる検査ではなく、皆さんの健康を守るための重要な手段です。『症状がないから大丈夫』ではなく、定期的な検診により早期発見・早期治療を目指しましょう。