Grand green
胃カメラ検査は、食道・胃・十二指腸の病気を直接観察できる重要な検査です。私がこれまで診療で経験してきた多くの患者さんの中には、自覚症状がほとんどないにもかかわらず、胃カメラ検査で重要な病気が見つかったケースが数多くあります。今回は、胃カメラで発見できる病気について詳しく解説いたします。
胃カメラ検査では、内視鏡で食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、疑わしい病変があればその組織を採取できます。従来のバリウム検査では見つけることが困難な微細な病気を見つけることが可能です。
【検査で発見される主な疾患】
・胃がん(早期・進行・スキルス)
・食道がん
・十二指腸がん
・胃炎(急性・慢性)
・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
・逆流性食道炎
・胃ポリープ
・食道静脈瘤
早期胃がんは、がんが胃粘膜の表面近くにとどまっている状態です。症状がほとんどないため内視鏡検査でしか発見できませんが、早期胃がんの段階でしたら内視鏡による手術で完治も可能です。当院では、これまでの検査で多くの早期胃がんを発見し、患者さんが内視鏡治療で完治された経験があります。
胃がんは他の消化器疾患と似た症状が多く、特有の症状はありません。そして、早期胃がんではほとんどが無症状で経過し、進行がんまで進展して初めて症状が出ることが多くなっています。
食道がんは、喫煙者やアルコール摂取者に多いとされ、進行がんになるまでほとんど自覚症状がありません。60歳代、70歳代の男性によく見られ、特に長期間の飲酒歴や喫煙歴がある方に多くなっています。早期食道がんであれば内視鏡治療で根治することが可能です。
みぞおちの辺りの痛みが継続する場合、急性胃炎が考えられます。原因としてはアルコールの摂取や薬の服用などがあります。ストレスが原因となる心因性の例もあります。急性胃炎は適切な治療により比較的短期間で改善することが多い疾患です。
ピロリ菌感染などがあって胃粘膜に慢性的な炎症がある状態です。慢性胃炎の最もたる要因は、胃内部におけるピロリ菌の存在です。ピロリ菌により慢性胃炎を起こしている胃の粘膜は通常の胃に比べて萎縮しています。
胃潰瘍は食後に痛むことが多く、原因はピロリ菌や、薬剤(主に鎮痛薬:痛み止め)のことが多いです。十二指腸潰瘍は胃潰瘍とは逆に、空腹時に痛むことが多く、原因は同じく、ピロリ菌や、薬剤(主に鎮痛薬:痛み止め)のことが多いです。
日本は先進国としては例外的にピロリ菌感染率がまだ高く、胃がん罹患率が高いのはそれが関係していると考えられています。日本人の胃がん罹患率は世界的に見ても高いことがわかっています。
胃内視鏡検査では、ピロリ菌感染の有無を調べることもできます。ピロリ菌感染がない方は胃がんになりにくいことがわかっており、ピロリ菌感染がある・または以前に感染していた方は胃がんリスクが高くなります。
除菌治療によってピロリ菌は除去できますが、既にダメージを受けた胃粘膜は元に戻らないため、除菌後も定期的な検査が欠かせません。ピロリ菌を除菌した後も胃粘膜に萎縮性胃炎や腸上皮化生があった場合は、胃がんになる危険性はゼロにはなりませんので、同じように定期的な内視鏡検査を受けることが勧められます。
胃にできるポリープは、胃底腺ポリープ、過形成性ポリープ、炎症性ポリープ、腫瘍性ポリープなどがあり、このうち腫瘍性のポリープは発見したらすぐに切除が必要です。胃のポリープは大腸のポリープと比較すると内視鏡での切除は不必要なケースが多いものの、経過観察のためには胃カメラ検査が頻繁に選択されます。
逆流性食道炎は胃酸の逆流により食道に炎症が起こる病気です。胃酸の逆流により、食道下端が荒れて、びらん(キズ)を作っています。日本人に多い、食道裂孔ヘルニア(胃の入り口がゆるむ)があると、高頻度におこり、胸やけ・呑酸(酸っぱいものが上がってくる)・胃痛・咳・げっぷ・喘息の悪化などの症状をきたします。
胃カメラ検査は、疾患のリスクがある場合は年齢に関わらず受ける必要がありますが、症状やピロリ菌感染の可能性が低く、検診として受ける場合は40歳からが目安です。40歳を過ぎたら、2年に1回のペースで胃カメラ検査を受けることがおすすめです。
以下の症状がある方は年齢に関係なく早急な検査をお勧めします。
・みぞおちの痛み
・胸やけ、呑酸
・食べ物のつかえ感
・体重減少
・貧血症状
・黒い便
胃カメラ検査の受診頻度は、特にピロリ菌の有無によって大きく異なります。胃に異常を認めずピロリ菌がいない場合は、2年に1回の健診が推奨されます。ピロリ菌がいる場合は症状がなくても除菌を推奨します。
胃カメラ検査は、胃がんをはじめとした多くの重要な疾患を早期発見できる極めて有効な検査方法です。早期のがんは自覚症状がほとんどなく、胃カメラで発見可能です。症状が現れる前に、がんリスクが上がる40歳になったら一度、カメラ検査を受けましょう。
経験上、定期的に胃カメラ検査を受けている患者さんほど、仮に病気が見つかっても早期の段階で発見でき、良好な治療結果を得ています。特にピロリ菌感染の有無を知ることは、今後の健康管理において非常に重要な情報となります。
検査に対する不安をお持ちの方もいらっしゃいますが、現在の胃カメラ検査は技術の進歩により、以前より格段に楽に受けられるようになっています。早期発見・早期治療により、多くの疾患が完治可能な時代です。症状がない方も、ぜひ定期的な検査をご検討ください。